人身事故と物損事故の違いについて
皆さんこんにちは!
今回は「人身事故と物損事故の違い」についてお話していきます。
人身事故と物損事故では被害者、加害者ともに保険の適応や慰謝料の額に違いがあります。
適切な補償を受けるためにご自身のお身体の状態や交通事故の状況に応じて手続きを行いましょう。
○「人身事故」、「物損事故」とは?
・人身事故…交通事故によって生命、身体に障害が発生した事故
・物損事故…交通事故による生命、身体の障害はないが、自動車や建築物等に被害が発生した事故
○「人身事故」、「物損事故」の違い
① 刑事罰の適応の違い
人身事故の場合は「過失運転致死傷罪」、「危険運転致死傷罪」などの刑事罰が適応されることが多いですが、物損事故の場合は基本的に刑事罰の適応はありません。
※「器物損壊罪」は故意によって物損が発生した場合に適応されるので、物損事故の場合は適応されない。
② 運転免許証の違反点数の加算の違い
人身事故では運転免許証の違反点数が加算されますが、物損事故では一部例外を除き、違反点数が加算されません。
※一部例外とは、事故発生時に「道路交通法」などの違反行為がみられた場合。
③ 慰謝料について
人身事故では慰謝料の請求が認められることがありますが、物損事故では基本的に慰謝料の請求は認められません。
④ 自賠責保険の適応の違い
人身事故の場合、損害賠償や慰謝料の支払いは、最大120万円まで加害者が加入している自賠責保険が補償してくれます。120万円を超える料金は加害者が加入している任意保険の補償や、加害者自身の自己負担によって支払われます。
しかし、物損事故では自賠責保険が適応されることは稀です。
その為、被害者から請求される損害賠償を加害者が加入している任意保険で全額支払うことになります。しかし、加害者が任意保険に加入していない場合は全額加害者の自己負担によって支払わなければなりません。
このため、加害者の財産的な問題や、加害者本人に支払いの意思がないことが原因で損害賠償が受け取れない事があります。
① ~④に注意して状況に応じた適切な方を選択しましょう。
事故当初は身体に異常が無く「物損事故」として処理した場合でも、時間経過とともに症状がみられるようになる場合があります。
そういった時は「物損事故」から「人身事故」の切り替えを行ってもらいましょう。
○「物損事故」から「人身事故」の切り替え
① 警察に切り替えを依頼する
先ずは警察に症状が現れたので人身事故に変更したい旨を伝えましょう。電話で事前に伝え訪問して手続きを行ってください。
この時に必要なのは「医師の診断書」です。この診断書には事故日、初診日、治療期間、事故とケガの因果関係が記載されています。特に重要なのは事故とケガの因果関係です。これが認められなければ、人身事故への変更は難しいです。
また、当事者の記憶や事故発生時のタイヤ痕の状況から、切り替えは事故発生の2週間以内に行うのが望ましいです。
② 加害者の加入している保険会社に切り替えを依頼する
①が完了したら加害者が加入している保険会社に人身事故への変更を依頼してきださい。
※事故発生からの日数経過などにより①が行えなかった場合は保険会社に「人身事故証明書入手不能理由書」を提出する事で人身事故として扱ってもらえる場合があります。
③ ①、②が行えなかった場合は裁判を行う必要があります。
交通事故によるケガの症状は、事故当初はみられずに時間が経過すると現れることがあります。ご自身のお身体の状態をしっかりと把握して適切な処理を行いましょう。